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ムクワレナイオヤジたちよサラバ『どつぼ超然』町田康

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『どつぼ超然』

どうにも世間並に生きづらい男が、自らを「余」と称し、海辺の温泉地田宮の地で超然の三昧境を目指す。降りかかる人生の艱難辛苦。人間的弱さを克服し、成長する余の姿を活写する傑作長篇。(Google booksより)


多分、世の女性方にはなかなか読まれないのだろうな、というか好まれないのだろうな、この小説は。いやそれは偏見か。そして町田康さんに失礼である。


つまり僕がいわゆる「オヤジ」であることから、そのような偏見がうまれるわけであって、悪いのは僕ではなく、「オヤジ」だ。


とまあ、こうやってとにかく蔑まれるのが世の「オヤジ」の宿命で、なんというかいたたまれない。可哀想ですね。勿論僕も含めるのでこれは自虐ということですね。


でも世には、そうではない、つまり報われる「オヤジ」という生き物も存在していて、それはどんな人かというと、まあ単純明快に言えば、金持ちorイケメンでございます。


ムクワレオヤジムクワレナイオヤジ


最近よく妻と「オヤジ」の生態について語り合うことがあるのだけれども、どんな経路を辿ろうともなんにしろ帰結する場所というのが、結局顔と金だよね、という揺るがぬ大地。


どちらかを有していれば、報われるのです。結局は。


お金持ち、もしくはイケメンであれば、ムクワレオヤジ
そうでなければ、ムクワレナイオヤジ
簡単な理論ですね。


いやー哀しいね。ペーソスを誘うね。でもどうしようもないね。


と、世の「ムクワレナイオヤジ」たちは、諦念という感情を身につけて生きていくわけだけれども、そんな中で、心の拠り所となるのが、町田康さんの小説ということになるわけです。


そしてこの『どつぼ超然』の「余」のように超然と生きようとするのですね。善哉(よきかな)、善哉(よきかな)。


いや全然善くないわけで、もうとにかく「余」は「世」に対して、皮肉たっぷりに、僕ら「ムクワレナイオヤジ」たちの代わりにグチグチと文句を言ってくれているのが気持ちいいのですね。


「余」は「ムクワレナイオヤジ」代表なんですね。そう、そういうことです。


だから若い女性などが、この『どつぼ超然』を読んだりすると、「うるさいオヤジがまたなんか屁理屈言ってる」くらいに思ってしまうのかもしれないなどと、考えたわけでして。若いとは言ってなかったっけ。

論理より錯乱


とまあ、ウダウダと書いてきたけど、真実はいつもひとつ。とっても大好きな小説だ、ということです。


何が好きかって、とにかくその破茶滅茶な文体。勿論褒めてます。笑。


こないだYouTubeで観たんだけど、ナインティナインのナンチャラって昔の番組に、パンカー町田町蔵時代の町田さんが出て詩の書き方をレクチャーしていたんだけれど、それがとても面白くて。


『論理より錯乱』と町田さんは言っていた。


これだな、と思った。僕が好きなモノたちに存在するナニカって、つまり「錯乱」なんじゃないかって。正確には「錯乱的な論理」かもしれない。まあ、正確に言う必要はない。なにせ錯乱だ。


なんとなくだけど、人間の脳内ってもともと錯乱していて、それを何かしらアウトプットするときに、色々な方面からのへんちくりんなバイアスがかかって、世間的にいうところの整った文章や言葉になるような気がする。


全く嘘のない文章や言葉ってのはないのだろうけども、論理的に整った文章よりも、錯乱していて破綻どんとこい的な文章のほうが人間味があって、ある意味リアルというやつではないだろうかなんて思うのでした。


虚構にリアルが必要かどうかは知らないけれども。


まあ、うんちくとかどうでもよくて、結局好きかどうかということだし、人が何と言おうと僕には関係ございません。なんてはっきり言えたらいいけど、そんな人間でもないんですね。貧弱。

町田康さんの文体の破壊力


ここまで書いてきて思ったことは、僕は他人の文体に簡単に影響されるなあ、ということ。まあ、ブログを書くようになって、そういう傾向にあるとは気付いていたし、なるべく自分の文体で書こうとはしてきたんだけど、町田康さんの文体の引力が強烈すぎて、完全に引っ張り込まれてしまった。


真似しようとしてるわけではないんだけどね。無意識的な感じなんだけどね。いやそれだけ魅力的なんですよ。町田康さんの書く文章ってやつが。文体ってやつが。破壊力抜群です。


でもね、なんとなーく書きやすいなと感じたりもしたりしなかったり。とかなんとか、最早自分のものにしたような口ぶりですが、全くもって違います。雰囲気イケメンです。


お。ということで、僕はイケメン。つまり「ムクワレオヤジ」になれたわけで、無事今回の記事も出来上がりということに相成りました。世の「ムクワレナイオヤジ」たちよさらば。唐突にさらば。


おわり。


あ、忘れてた。町田康さんのプロフィールっす↓

町田康さんプロフィール

1962年大阪府生まれ。1996年に初小説「くっすん大黒」を発表、翌年ドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞を受賞。2000年「きれぎれ」で芥川賞、2001年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、2005年『告白』で谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『夫婦茶碗』『パンク侍、斬られて候』『人間小唄』『ゴランノスポン』『ギケイキ 千年の流転』『ホサナ』『生の肯定』『猫にかまけて』シリーズ、『スピンク日記』シリーズなど多数。(新潮社HPより)

改めてさらば。