ほんといろいろ

本と音楽と日々の愚行録

世界に潜む、良い人。

僕は今、とても感動している。

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僕ら夫婦はアパートの1階に住んでいて、そのベランダの前には横並びで2台分の駐車場がある。そこにはいつも、僕の車と他の部屋の住人の方の車が停められている。ベランダと駐車場の距離は1.5mくらいしかない。

ベランダに置いてあるものを隠すための柵を、手作り(超簡易的)で立てていたのだけれども、先日の台風の影響でそれが倒れてしまったのである(勿論対策はしていた)。

僕の車ならよかったのだけれど、残念ながらぶつかってしまったのは他の方の車だった。気づいてすぐ元に戻しに行き、ぶつかったところを確認する。目立つほどではなかったけれども、微かにキズがついていた。バレなければ大丈夫かな、なんて一瞬頭をよぎったけれども、正直に話すことにする。

しかし、連絡先がわからない。ということで、こちらの連絡先を書いたメモをその車に括り付けておくと、次の日に連絡が来た。起こったことをそのままお話し、修理代を立て替えておいていただいて、後日支払うということでとりあえずまとまる。

それから何度かやりとりがあり、僕も出張で居なかったためお待たせしてしまったが、今日、その支払いをしにその方の部屋へ伺ってきたのである。

電話で話した声からも、物腰の柔らかい雰囲気を感じていたが、実際に会ってもやはりそうで、万事穏やかにやりとりすることができた。そして、その帰り際である。

あ、ちょっと待って、と部屋から紙袋を持ってきて、「これどうぞ」と僕に差し出す。戸惑う僕に、「正直に話してくれたから。ありがとう」と。全く予想もしていなかった出来事に、断る言葉もうまく言えずに受け取ってしまう。申し訳ありません、ありがとうございます。それしか言えずその場を後にする。

車を修理に出す手間や、金額の確認のために明細書と領収書のコピーを取ってきてもらったりと、お手数をかけてしまった中で、わざわざその僕に渡すための物を買ってきてくれたのである。逆に僕が買っていくべきだったと後悔したが、とにかくその方のその行動に僕はとても感動したのであった。

これくらいいいよ、と言おうと思えば言えたのかもしれない。しかし、そうするときっと後にモヤモヤとしたものが残ってしまう。僕としても払わなくて済むのなら助かるが、後ろめたさは多分残ってしまうだろう。だからこれで良かったのである。

あの方はその事をちゃんとわかって、敢えて僕の話を受けてくれたのだと思う。人によっては当たり前と感じるかもしれないが、とは言えなかなか出来る人はいないだろう。

最近、他人に対して、なんだかなあと思うことが多く、その原因を自分に向けて自己嫌悪してしまったりしていたが、今回の事で少し気持ちに余裕ができたような気がしている。

この世界に神はいるかどうかわからないが、良い人は間違いなく、いる。