ほんといろいろ。

小説の感想とその他いろいろ(音楽、映画、壁紙...)愚考録

記憶と未来の間のティム・オブライエン

記憶というのはとても曖昧で不確かなもののような気がするけれど、それでも人は記憶を頼りに未来へと向かう。それすることしか出来ないのかもしれないし、そうではないかもしれない。よく分からない。

そんなことを考えていたら(書いていたら)、妻は「シイタケ占い」について、星座ごとのパワースポットがどうの、と話しかけてきた。僕は山羊座で、パワースポットはオーガニックスーパーだそうだ。近所にはないので、出先で探して行ってみよう。

と、まあこんなことは明日の朝には忘れているのだろうけれども、いつの日かふと思い出すのかもしれない。思い出したら、もしかしたら僕はオーガニックスーパーを探し出し、そこへ行くのかもしれない。記憶を頼りに選択し、先へと進む。

といっても、そもそもパワースポットというものにあまり興味がないので多分行かない。興味というのも記憶の産物なのだろうか。

僕は今、ティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』(村上春樹訳)という小説を読んでいる。ヴェトナム戦争を実際に体験した著者による物語。戦争の記憶。僕にはない。

小説の中で、様々な「戦争の記憶」が語られている。残酷。悲惨。でもそこには思わず笑ってしまうようなエピソードも隠されている。別に隠していないかもしれないけれど、とにかく「平和」も戦争の中には、ある。

でも一瞬、すべてがしんと静まりかえる。空を見上げると太陽がある。ほわっとした白い雲もいくつか見える。そんな曇りひとつないのどかさが君の眼球を射る。世界そのものが再編成されるわけだ。君は確かに戦争の中に釘づけにされている。でも君はそのような中にあっても、このうえない平和を身の内に感じるのだ。(『本当の戦争の話をしよう』より)

体験したことのない僕は、実際にその現場にいて本当にそう感じることができるのかどうかはわからないけれど、もしかしたらそうなのかもしれないとは思う。そう思いたいのかもしれない。わからない。

結局のところ戦争について何もわからないから、僕はこの小説を読んでいる。そうすれば多少なりとも記憶として残るだろう。そして、その記憶はこの先生きていくうえで、何かしらの道標になるのだろうと確信している。

4.22.2019 100pほど。

妻は寝たようだけれども、どうしようか、僕はもう少しだけ読んでから寝ようかな。

では。おわり。